動物を飼うことは、動物にとって幸せか? [ANIMAL WELFARE]
昨日の記事に書いた通り、私の年に一度のボランティア活動、シンポジウムでの発表。
商業利用される動物のサプライチェーンをテーマとしています。
その中で、何枚かのスライドに、愛玩動物に関する過剰繁殖・死亡率、ボランティアに頼る「殺処分数の減少」、そして消費者意識の問題などを紹介。
その後いただく意見がとても刺激的なこの学会での発表は、自分の気づきを進められる場でもあります。
お一人と何度かメールをやり取りしていまして、このようなご意見が:
-----------------
犬を飼うときに、犬の躾が大事だと言われていますが、動物福祉の視点で考えると
人間が愛玩動物として犬を買うこと自体が本当に犬にとって幸せなことなのか?
ただ自分の期待通りの子供にしたい親と同様に、単に人間のエゴイズムなのかも?
ととても悩ましいところです。
---------------
この前に、アドラーを例に挙げられ、ほめない・叱らないという教育方法について書かれていました。
以前私も、「犬が人間の言うことをとてもよく聞くように訓練されているのを見るのも、あまり好きではない」と書いたことがありますが、この方とボトムラインは同じな気がします。
犬(/猫)にとって何が幸せか?
パフィーズのテーマでもありますが、「個」の犬/猫と、犬/猫という「種」全体と、二つのレベルがあると思います。
前回の記事に書いた通りの状況は、種として見た時の犬猫が決して幸せとは言えない状態にあることを示していると私は思っています。
個としては、それぞれですが、もちろん、人間にとっても「宿命」というものがあるように、持って生まれた性質や環境の中で、どれだけ5つの自由が確保される状態で過ごすことができるのか、という見方が一つできると思います。
そういう意味でも、保護動物を迎えると言うことは、この「宿命」のスタートラインが低い動物によりよい環境を与えることができる、人間側の学びが促進される行為だと、私は捉えています。
そして、「余った」犬や猫がいなくならない限りは、繁殖は最小限に抑えるべきだとも思います。
もっと言えば、私個人としては本当に限られた場合を除いて、繁殖は必要ない、と考えているところです。
動物をあえて繁殖するということは、あえて亡くなる命を増やしている、という意識を私たちがクリアに持っていないことは、動物に対して無責任な状態であると、私個人は思っています。
題名である「動物を飼うことは、動物にとって幸せか?」というクエスチョンに戻りますと、私の出した現在での結論は、人間が理由で生まれて来てしまっている、今ここに存在する動物たちと暮らすことは、少なくとも他には殺処分というチョイスしかない彼らにとって、幸せの軸により近くなる行為であると言えるのではないか、ということです。
ただその大元の「生まれて来てしまう」原因(=繁殖)を正さない限り、何が愛玩動物にとって幸せか、というクエスチョンを本当に考えることはできない気がします。
いつも書いていますが、これを言うと「うちはペットショップから買いました、すみません...」とおっしゃる方がいます。
(「ペットショップ(あるいはブリーダーのところ)で売れ残っていたから」ということで引き取られる優しい方は、そういう方の善意でこの商業サイクルが成り立ってしまうこともあるということは、知っておいてください。カタイ言葉で言うと、そのサイクルに「加担」していることになるのです。)
そんな風に感じられる必要は全くないですし、もし新たに迎える動物を、保護された子から検討だけでもしてみられるのであれば、そこでまたこの問題を自分のこととして捉える人が増えたということだ、と私は考えています。
悩んで最終的に出した結果が保護された子でなかったとしても、そこまでのプロセスをきちんと踏んでいれば、その人にとって一番ベストな結果が出るのだろうと、思います。
だから、情報はお伝えしつつ、私の言うことはあまり気になさらずによい出逢いで決めてください、と、そのようにこの方にもお伝えしました。
Gさんすみません、見ていらしたら..... 書いてしまいました(笑)。
でも尊敬するGさんから、この私のライフワークであるトピックについて示唆にとんだご意見を伺うことは大変光栄です♡
最後に、最近の「猫ブーム」(この言葉自体抵抗ありますが)で、猫ちゃんもブリードにこだわる繁殖が増えているようで心配です。
追記:もう一つのブログ「最後のしっぽ」、今回はゴリラの射殺事件と、人間は他の動物より価値があるのかというトピックについて(こちら)。記事更新してます。
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商業利用される動物のサプライチェーンをテーマとしています。
その中で、何枚かのスライドに、愛玩動物に関する過剰繁殖・死亡率、ボランティアに頼る「殺処分数の減少」、そして消費者意識の問題などを紹介。
その後いただく意見がとても刺激的なこの学会での発表は、自分の気づきを進められる場でもあります。
お一人と何度かメールをやり取りしていまして、このようなご意見が:
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犬を飼うときに、犬の躾が大事だと言われていますが、動物福祉の視点で考えると
人間が愛玩動物として犬を買うこと自体が本当に犬にとって幸せなことなのか?
ただ自分の期待通りの子供にしたい親と同様に、単に人間のエゴイズムなのかも?
ととても悩ましいところです。
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この前に、アドラーを例に挙げられ、ほめない・叱らないという教育方法について書かれていました。
以前私も、「犬が人間の言うことをとてもよく聞くように訓練されているのを見るのも、あまり好きではない」と書いたことがありますが、この方とボトムラインは同じな気がします。
犬(/猫)にとって何が幸せか?
パフィーズのテーマでもありますが、「個」の犬/猫と、犬/猫という「種」全体と、二つのレベルがあると思います。
前回の記事に書いた通りの状況は、種として見た時の犬猫が決して幸せとは言えない状態にあることを示していると私は思っています。
個としては、それぞれですが、もちろん、人間にとっても「宿命」というものがあるように、持って生まれた性質や環境の中で、どれだけ5つの自由が確保される状態で過ごすことができるのか、という見方が一つできると思います。
そういう意味でも、保護動物を迎えると言うことは、この「宿命」のスタートラインが低い動物によりよい環境を与えることができる、人間側の学びが促進される行為だと、私は捉えています。
そして、「余った」犬や猫がいなくならない限りは、繁殖は最小限に抑えるべきだとも思います。
もっと言えば、私個人としては本当に限られた場合を除いて、繁殖は必要ない、と考えているところです。
動物をあえて繁殖するということは、あえて亡くなる命を増やしている、という意識を私たちがクリアに持っていないことは、動物に対して無責任な状態であると、私個人は思っています。
題名である「動物を飼うことは、動物にとって幸せか?」というクエスチョンに戻りますと、私の出した現在での結論は、人間が理由で生まれて来てしまっている、今ここに存在する動物たちと暮らすことは、少なくとも他には殺処分というチョイスしかない彼らにとって、幸せの軸により近くなる行為であると言えるのではないか、ということです。
ただその大元の「生まれて来てしまう」原因(=繁殖)を正さない限り、何が愛玩動物にとって幸せか、というクエスチョンを本当に考えることはできない気がします。
いつも書いていますが、これを言うと「うちはペットショップから買いました、すみません...」とおっしゃる方がいます。
(「ペットショップ(あるいはブリーダーのところ)で売れ残っていたから」ということで引き取られる優しい方は、そういう方の善意でこの商業サイクルが成り立ってしまうこともあるということは、知っておいてください。カタイ言葉で言うと、そのサイクルに「加担」していることになるのです。)
そんな風に感じられる必要は全くないですし、もし新たに迎える動物を、保護された子から検討だけでもしてみられるのであれば、そこでまたこの問題を自分のこととして捉える人が増えたということだ、と私は考えています。
悩んで最終的に出した結果が保護された子でなかったとしても、そこまでのプロセスをきちんと踏んでいれば、その人にとって一番ベストな結果が出るのだろうと、思います。
だから、情報はお伝えしつつ、私の言うことはあまり気になさらずによい出逢いで決めてください、と、そのようにこの方にもお伝えしました。
Gさんすみません、見ていらしたら..... 書いてしまいました(笑)。
でも尊敬するGさんから、この私のライフワークであるトピックについて示唆にとんだご意見を伺うことは大変光栄です♡
最後に、最近の「猫ブーム」(この言葉自体抵抗ありますが)で、猫ちゃんもブリードにこだわる繁殖が増えているようで心配です。
追記:もう一つのブログ「最後のしっぽ」、今回はゴリラの射殺事件と、人間は他の動物より価値があるのかというトピックについて(こちら)。記事更新してます。
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少し違う話になるかもしれませんが、フクロウカフェなるものに知り合いが行ってそこで撮った写真を可愛いと見てたのですが、はたとこの子たちは幸せなのだろうかと思い、写真を見るのをやめました。写真くらいはいいんでしょうけど、なんとなく。
可愛いだけじゃだめなんですよね。
by なつママ (2016-06-04 15:29)
生き物を飼う・・・・私たちが 豊かに暮らしている 象徴なのでは??と 思います
ドバイで猛獣を飼う人も 多いとか・・。
やはり どこか違うように思います 見て見ぬふり? 臭い物には蓋?そんな感じの 日本が 先進国だなんて言ってる場合じゃないのに
3日 夜に MILKが虹の橋を渡りました 苦しむこともなく 静かに息を引き取り 今も ただ眠っているだけのようです 今にも お得意のため息??を つきそうな・・。
アドバイス ありがとうございました とっても心強かったです
by ra35 (2016-06-04 18:24)
☆ なっちゃんママ
むずかしいですよね。
個人のチョイスを批判したくはないし、するつもりもなく...
でも、基本的にはやっぱり気づいてほしい、という気持ちはありますしね。
私もいつも悩ましいところです。
でもふくろうというのは本来(鳥類はほぼそうですが)、行動範囲の広い動物です。
by Mari (2016-06-04 19:37)
☆ ra35 さん
今ブログに行ってきました... ミルクちゃん、旅立ってしまって、さびしいですね...
お得意のためいき、聞こえてきそうです。
しばらくは寂しいですね...。
そんな時に、ありがとうございます。
by Mari (2016-06-04 19:39)
こんばんは。↓1つ下の記事と共に拝読させて頂きました。
我が家はまさにペペロミアも苺も店から来てしまい、特にペペロミアは月齢高く病気で売れ残っていたので引き取ってよいと当時は思っていました。
ここまで最近の「引き取り屋」の実態を見たり、以前から獣医さんにもペット産業の闇(を話してくれる獣医さん)をきいてはいても これほど日本がオリンピックやっている場合ではないほどひどい状態であったとは知らず無知でした。
買ったから言うのではなく、日本のペット市場やメディアの煽りではまだまだペットショップから買うしか知らないヒトが多いのも事実です(excuseでなく)
広めたいと思いました。ちなみにご存知だと思います。ブログで紹介した 杉本彩さんの本「それでも命を買いますか?」も大変勉強になりました。
杉本さんこういう仕事されると圧力でTVの仕事を干されたそうですが、ペット業界最新の情報ものっていました。
週に1~2回開催されるオークションに誰でも登録できるから500ー1000人も集まる(>_<)
潜入した作家さんの話や、元ペットショップ経営の人の 動物がなくなった時はそのままホームセンターのゴミに出すとか(TT)(そのかたは後でやり方かえきちんとお寺に)
子犬子猫(鳥の雛や小動物)ぞんざいに扱われているとは想像してましたが、ペットショップ売れ残りだけでなく、
ストレスや病気で毎日死んでしまう(ガラスケース)はもとより、
ブリーダー(悪徳)でも沢山なくなり→オークション、搬送でも、&引き取り屋という名の悪魔のような飼い殺し業者(転売 売れないとまた繁殖。それ以外は衰弱させ放置)
でもこんなにどこの流通経路でも大量に殺されていることまでは考えが及びませんでした。この本を周りに配って歩きたい気分です。気分ではなくそうします。長文失礼しました。
by うさこ (2016-06-04 21:41)
追記ですみません。
少し違うのですが、以前(1~2年前)近所を散歩していたら
このこ レンタルなんです という人が!
は?と思ったけど
一週間レンタルとか 延長もできるんですよ と いや そういう問題じゃなく
軽く借りて もし病気になっても病院の場所もしってるのかとか それ以前に犬が食べられない食物とか 知らないかもと
散歩 日に何度も別のお客さんがいったら疲れるだろうし
本当に命のレンタルとか何考えてるんだろうと腹が立ちました
by うさこ (2016-06-04 21:46)
☆ うさこさん
ご意見ありがとうございます。
>日本のペット市場やメディアの煽りではまだまだペットショップから買うしか知らないヒトが多いのも事実です(excuseでなく)
という点ですが、本当にそうですね。
まず日本のメディアというのは、動物に関する問題について、非常にレベルの低い報道をしているところがほとんどだといつも私は思っています。
いずれにしても、この過剰繁殖→生体販売の問題も他の社会問題と同じく、政策・企業(業者)の姿勢・消費者意識・メディア・市民団体の取組と、それぞれのステークホルダーがそれぞれに現状を理解し改善に向けて努力していかない限り、市民団体や善意のボランティアさんへの負担が大きすぎると思います。
そして、上記のステークホルダーの中では、企業(業者)が一番金銭的に繁殖・販売から利益を得ているため、政策にも影響を及ぼそうと活動するそのレベルが、寄付やボランティアに頼るしかない一般消費者や市民団体の活動のレベルと、バランスが取りづらい構図だと思います。
杉本さんの本は拝読しました。とてもよく全体像をとらえた本だと思いましたし、トーンも感情的ではなく、広く受け入れられるところに落とし込んでいると思います。
レンタルは、禁止にすべきだと私個人は思います。
恐らく、そうするとテレビなどの撮影に困るという事情も一つあるでしょうが、そういう意味で、テレビでやっている”かわいい”動物特集を、視聴者が拒否することも、意味があると思います。
こう考えていくと、ややこしいですね。
でもそうも言っていられませんね。ありがとうございました。
by Mari (2016-06-05 09:32)