ノネコ、イエネコ [ANIMAL WELFARE]
さて、前回ご紹介した More Than Us の活動、手始めにのびのびになっていた掲題のトピックです。
野良猫ちゃん。野生に生きる猫、というフレーズも。
かくいう我が家のアイドル三ちゃんも、もとは野良ちゃんでした。
初公開、最初に家に来た時の写真!
いやもう汚いのなんのってw
しかもとっても痩せていて、よく言われるようにその頃は目つきもかなりきつかったです。
とても同じ猫とは思えない!
「シッ、シッ」とされているところを帰宅途中のMike さんに目撃してもらった運のよいコ。
「仔猫がいて、とても置いてはおけない。連れて帰ってもいい?」と一応電話してきた Mike さんですが、「いいよ、もちろん」と返事をした途端ドアが開いて抱っこされたこのコがいましたw
とりあえずいったん、段ボール箱に入れたところが上の写真でした。
最初は里親を探そうと思っていたのですが、あまりに月ちゃん家になじんでいたのと、もう一頭くらいなら動物のお世話もできる... かな... とキャパの面でもぎりぎりセーフ(かな?)。
三ちゃんの性格が良かったこと(とにかく悪気がなく sweet )は大きいです。
月ちゃんがまだ猫ちゃんに慣れないせいもあり、寝室とは離れた和室に Mike さんと寝ていました(2週間くらいかな?)。
さすが保護猫を何度も引き取っている Mike さん一家、こういう時はこうする、と的確なお世話。
私は猫を飼ったことはなかったため、常に「どうしたらいい?」と指示を仰いでいました。
でも仔猫の世話をするのはとても大変で、より融通のきく仕事をしている私の肩にほぼかかってきたためいったんは(私が)パニック状態になりあきらめかけたことも。
でも「ダメかもしれないよ... ここにいるのは...」とボソボソ三ちゃんに話している Mike さんと、すっかり安住の顔をしている三ちゃんを見て、こういう時ことお金で解決すればいいんだと思いつき...
ハウスキーパーさんにも来てもらうようにして、なんとかその時期を乗り越えました。
月ちゃんの時は自分から進んで引き取っていたので、大変さ(おりこうだったのであまりなかったですが)は納得。
でも、偶然見つけてしまう小さな命を預かり引き受けようというのはやはり並大抵のことではありません。
これ以降、そういうことを無償でしている人を応援するのはどうぶつを愛する者としての義務であると思う気持ちはよりいっそう強くなりました。
まあこれ、他のことすべてにも本当は言えることですが(環境を愛する=環境保護団体に寄付する、など)。
実は、ご存知の方もいらっしゃるとおり、行政による引き取り数・殺処分数ともに、犬より猫の方がずっと多いです。
で、引き取り・処分の数が近年減ったと言われていますが、犬と猫を比べると猫は犬ほどには減っていません。
例えば引き取り数は、H16の犬が181,167頭。猫は237,246頭。
H26には、犬53,173頭、猫97,922頭。
犬は30%以下にまで減っているのですが、猫は半分と少し。
しかもいわゆる「猫ブーム」(この言葉、命への尊厳もなにも感じられない言葉ですね...)で、増えることが懸念されています。
改めて法律上の区分を考えてみるとまず、法的立場が、犬と猫では違うのでした。
動物管理愛護法のもと、「野良犬」は存在してはいけないのですが、「野良猫」はいいのです。
つまり、犬が係留されずに外をうろうろしていたら、捕獲対象となるのに対して、猫はならないのです。
誰でも知っているようなことではありますが、犬に関しては人間の完全な管理下(殺処分、繁殖→途中で死亡、も入れると)にある犬が増えてきた、と言えるのだろうと思います。
それに対し、猫というのは野良ちゃんなのか、飼い猫なのか、わからないからだと思われますが、基本的には捕獲はしないことになっているのですね。
私も勉強不足でここに書くのはちょっと憚られるのですが、猫を大きく分けると最低でも「ヤマネコ」「ノネコ」「ノラネコ」「イエネコ」に分けられるようです。
「ヤマネコ」は言わずと知れた西表ヤマネコや対馬ヤマネコ(対馬♡は月ちゃんの生まれ故郷です♡)など、完全なる野生動物。
つまり、海を泳ぐシロナガスクジラやロシアのアムールトラのように、完全に人の管理からは外れたところで生きる動物です。
そして例えばツシマヤマネコはベンガルヤマネコの亜種と言われている通り、ヤマネコはノネコやイエネコとは生態学的にも違っています。
その「イエネコ」は、言わずと知れた家で飼われる猫。
本来は完全に人間の管理下にある動物。
↑ 1週間くらいは和室が居場所だった三ちゃん(三ちゃんは自由に出入り・月ちゃんは入れないようにしていました)も、徐々に二階のリビングに慣れてきました。
そして、「ノネコ」とは、ややこしい存在で、「ノラネコ」との違いが明確に定義されていないようです。
よくこの論争の時に引き合いに出されているのが、昭和38年の(古い!)農林水産委員会での以下の説明のようです↓
「ノイヌ、ノネコは、元来は家畜でございましたものが野性化いたしまして山野に自生いたしまして、野山におるというのを、のら犬、のらネコ等と区分いたしまして、この場合ノイヌ、ノネコと称しまして狩猟鳥獣に入れておるわけでございますが」(委員会議事録原文はこちら)
「ノネコ」という呼ばれ方をする時は、鳥獣保護法のもと狩猟対象になっているのです。
どうも、この議事録を読んでいると「山野」にいる猫や犬(明らかに飼われていない)は、ノネコ、ノイヌ、と扱われるようです。
しかし昭和38年の説明がまだ生きているのかどうか、そのあたり、もう少しリサーチしないとなんとも言えませんが... どうもそうのようです。
「ノネコとは”人に依存せず山野で自活し野生化したイエネコ”のことですが、少し前まではノラネコやヤマネコと混同する方も少なくありませんでした。しかし最近はそれが何者であるかの認識も非常に高くなっていると感じています。」(南海日日新聞「ネコ問題シンポジウムに寄せて」寄稿文)
この寄稿文は在来生態系に影響を与えるイエネコの影響を考える研究会の方々が書かれたのですが、たしかに猫を巡っては、自然保護の面からは好ましくない影響というのは存在していて、これは日本に限ったことではもちろんありません。
例えばあれだけ動物を愛する国民性を持つイギリスでも、私がいた頃からすでに(10年前)、イエネコは野鳥を捕るから外に出すな!という運動は強くあり、かのデイビッド・アッテンボローさん(野生生物のドキュメンタリーのナレーターなどで有名)も、このことについて発言しています。
ただ、ここではその問題はいったん脇に置きまして。(というのも日本でこれが議論されているのは主に、保護動物がいる離島が多いからです。奄美大島=アマミノクロウサギ=猫に捕食される、西表島・対馬=ヤマネコ=イエネコと交配してしまうなど。)
この、「ノネコ」というのは、もともとはイエネコが野生化し「山野」にいる猫。
そして、「ノラネコ」は、イエネコが野生化し「山野」にはいない、主に都市部にいる猫(都市部の区分けも曖昧です)、という理解になるのかな?と思います。
いずれにしろ、「野良猫」は、人間の管理下にあった猫から発生した、自然界にはもともといなかったはずの動物なのです。
いろいろなパターンがあるようですが、ノネコや野良ネコは、例えば...
〇 もともと飼われていて捨てられた
〇 子猫として生まれたのを捨てられた
〇 去勢・避妊しないまま外に出ている飼い猫と、すでに「野良ネコ」となっていた猫が交配し生まれた猫が野生化した
とか、大元を辿っていくと、人間が管理していたはずの猫たちから派生。
ここのところが、よく知られていないと、「猫は迷惑」的な短絡思考になるのかな?と思ったのですが、どうでしょうね。
TNRという活動をしている人達がいます。
主に、上記のうち、野良ネコを対象にした活動です。
ご存知でない方のために説明しますと、T (Trap=捕獲する)、N(Neuter = 去勢・避妊手術をする)、R (Return = 元の場所に戻す)、という活動です。
ただ、それだけではなく、決められた場所での餌やり、その後片付け、排泄をするための場所とプランターなどの設置とメンテナンス、というところまで含んでいるのが日本におけるTNR の一般的な内容のようです(そうでない場合もあるとは思いますが)。
そして、TNRの対象となりきちんと去勢・避妊をしている猫は、「地域猫」と呼ばれています。
そうでない猫と区別するために、耳をさくらの花の先っぽのようにカットしているため、「さくら猫」などとも呼ばれています。
これは、新たなネコのカテゴリーであると、私は考えています。
先月のハワイで週末ミニマムキャンプをした時も、この「地域猫」がいました。受付のところに避妊・去勢のための募金箱が置いてありました。向かって左の耳がカットされています。ものすごい人懐こいコで、私は Sweet Heart と呼んで膝まくらしたりしてましたw
TNRをしているボランティアさんのお話を聞くと、もちろん猫が”好き”で”かわいそう”ということの他、「人間の責任で野良ネコになった」というところに、同じ人間として責任を感じ、なんとかしようと動いている、という印象を受けます。
これ、前回書いた、倫理感に根差した行動です。
それなのに、この人達が行政から怒られたりするなんて、本当に筋違いな話なのです。
↑ ある高齢のおばあさんが劣悪な状態の野良ネコたちの世話をしたところ、行政から延々とお説教され具合が悪くなった、という話です。
ただ実際、そうとはわかってもやはり前回も書いた庭にフンをするなど、「メイワク」と感じられる場合もあるそうで、TNR活動は大変苦労されているようですね。
そして行政のあの「近隣の迷惑になりますので猫に餌を与えないでください」というメッセージは、短絡的すぎて危険です。
なぜなら、百歩譲ってメイワクという言葉を使うとしたら、その対象にははっきりとした区分があるべきだからです。
去勢や避妊をした猫は、戸外にいるとしても1代限り。増えることはありません。
そのうえで、そういう猫であっても、近隣の庭に入ってフンをして迷惑だから、餌をあげるな(→ 餓死・ゴミあさり)、というのかどうか。
TNRは環境省のガイドラインを読むときちんと認められた活動です(「住 宅 密 集 地 に お け る 犬 猫 の 適 正 飼 養 ガ イ ド ラ イ ン」)。
それが、自治体によっては短絡的なメッセージを発信したまま、というだけのことなのか。
私も勉強不足でまだよくわかりません。でもこのメッセージはどうしても変える必要はあると強く感じています。
仕事柄(サステナビリティを推進する)よく、人から「それはきれいごと」と言われます。
でもそれはいけないことなのかなあ~と、最近そのことをよく考えます。
現実はいろいろあっても、常に未来の「きれいごと」を目指すことで、人のモラルは進化してきたのではないのかなあと。
理論的には、すべての猫を捕獲し去勢・避妊をし、耳をカットしその猫たちについては温かく見守る、ということを目指すことが人道的・倫理的・道徳的、なのではないでしょうか。
しかも、もともとは人間が飼っていた猫たちから派生している彼らは、人間の産物であります。
倫理や道徳より自分の快適さや便利さだ、という主張、そんな主張を、子どもがしたら私たちはきっと心配するでしょう。
「将来どんな大人になるのか」。
なのにどうして、子どもに言うことと、大人のすることで、ダブルスタンダードを持ち込んでいるのでしょう?
子どもたちには命を大切に、他人を(他の生き物を)大切に、と教えるのが基本だと私は理解していますが、違ったのでしょうか。
「そんなこと言っても現実問題は」とは、「メイワク」と並んでよく使われる言葉ですが、それを押し通してきたから今私たちは自分の住んでいる場所である地球を滅ぼすようなことをしているのだと、そろそろ気づいてもよいころではないかな...
ネコの問題、イヌの問題、生きものの絶滅、大量消費に大量廃棄、etc. etc.
人間以外の生きものに対する姿勢そのものを、もう一度考え直す機会を、このネコ問題とTNRは考えさせてくれるなあ~と思いました。
猫は特に、「普通に道にいる」(学生さんのコメントw)ため、みんなに関係あるということが分かりやすいですから、動物問題を考えるのにとっかかりやすいかも。
So-net マリエさんが代表をされているこちら肉球クラブさんの譲渡会が27日の今日行われました。
もう何年も譲渡会でサプリメントを販売して活動費に充てていただくようにしていますが、ボランティアさんたちが猫ちゃんたちに食べさせるのに苦労していると聞いていました。
みなさん粉状にしたりと工夫されていると聞いたので...
同じく So-net ぼっこさんがご自宅でしてくださっているというアイデアをそのままいただいて、バウンシー(猫用オーガニックサプリメント)を粉状にし、1回分ずつを袋に入れてお送りしました。
三ちゃんもうちに来た当初、猫風邪ウイルスのためもあり涙・鼻水ともにすごかったんですが、バウンシーでとてもきれいになったので、ぜひ、譲渡率アップのためにもなんとか猫ちゃんたちに食べてもらいたい!
お忙しいボランティアさんにあまりお手をわずらわせたくない!
そんな気持ちをスタッフに話したところ、「やってみます!」と実現してくれたのです。
マリエさん、ボランティアのみなさん、ぼっこさん、そしてパフィーズKさん、ありがとうございます。
三ちゃんと同じ運命の猫ちゃんたちに、よいお家が見つかっていますように。
しかし月ちゃんも三ちゃんも、もともとは「野良」で暮らしていたことを思うと、動物の人間に合わせる能力はすごいなあ~と思います。
これだけの知能や感情を持っている動物を、「メイワク」で片付けることは、やはり知能が高く理性と判断力に優れていると自負する「人間」であればこそ、倫理に反することではないでしょうか。
二頭とも、合わせてくれているのだな、と、日々感謝♡
動物とこんな近くで暮らせるって、実はすごいことなんですね。
私の instagram ↓
パフィーズの instagram ↓
ペットのオーガニックサプリ ↓
~お知らせ~
9/16 パフィーズ 福岡市イムズデパートにてセミナー(こちら)
10/3 代表Mari 朝日新聞地球会議2017パネリスト登壇(こちら)@帝国ホテル in 東京 (フェアトレードのセッション、お申し込みは朝日新聞社まで)
野良猫ちゃん。野生に生きる猫、というフレーズも。
かくいう我が家のアイドル三ちゃんも、もとは野良ちゃんでした。
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いやもう汚いのなんのってw
しかもとっても痩せていて、よく言われるようにその頃は目つきもかなりきつかったです。
とても同じ猫とは思えない!
「シッ、シッ」とされているところを帰宅途中のMike さんに目撃してもらった運のよいコ。
「仔猫がいて、とても置いてはおけない。連れて帰ってもいい?」と一応電話してきた Mike さんですが、「いいよ、もちろん」と返事をした途端ドアが開いて抱っこされたこのコがいましたw
とりあえずいったん、段ボール箱に入れたところが上の写真でした。
最初は里親を探そうと思っていたのですが、あまりに月ちゃん家になじんでいたのと、もう一頭くらいなら動物のお世話もできる... かな... とキャパの面でもぎりぎりセーフ(かな?)。
三ちゃんの性格が良かったこと(とにかく悪気がなく sweet )は大きいです。
月ちゃんがまだ猫ちゃんに慣れないせいもあり、寝室とは離れた和室に Mike さんと寝ていました(2週間くらいかな?)。
さすが保護猫を何度も引き取っている Mike さん一家、こういう時はこうする、と的確なお世話。
私は猫を飼ったことはなかったため、常に「どうしたらいい?」と指示を仰いでいました。
でも仔猫の世話をするのはとても大変で、より融通のきく仕事をしている私の肩にほぼかかってきたためいったんは(私が)パニック状態になりあきらめかけたことも。
でも「ダメかもしれないよ... ここにいるのは...」とボソボソ三ちゃんに話している Mike さんと、すっかり安住の顔をしている三ちゃんを見て、こういう時ことお金で解決すればいいんだと思いつき...
ハウスキーパーさんにも来てもらうようにして、なんとかその時期を乗り越えました。
月ちゃんの時は自分から進んで引き取っていたので、大変さ(おりこうだったのであまりなかったですが)は納得。
でも、偶然見つけてしまう小さな命を預かり引き受けようというのはやはり並大抵のことではありません。
これ以降、そういうことを無償でしている人を応援するのはどうぶつを愛する者としての義務であると思う気持ちはよりいっそう強くなりました。
まあこれ、他のことすべてにも本当は言えることですが(環境を愛する=環境保護団体に寄付する、など)。
実は、ご存知の方もいらっしゃるとおり、行政による引き取り数・殺処分数ともに、犬より猫の方がずっと多いです。
で、引き取り・処分の数が近年減ったと言われていますが、犬と猫を比べると猫は犬ほどには減っていません。
例えば引き取り数は、H16の犬が181,167頭。猫は237,246頭。
H26には、犬53,173頭、猫97,922頭。
犬は30%以下にまで減っているのですが、猫は半分と少し。
しかもいわゆる「猫ブーム」(この言葉、命への尊厳もなにも感じられない言葉ですね...)で、増えることが懸念されています。
改めて法律上の区分を考えてみるとまず、法的立場が、犬と猫では違うのでした。
動物管理愛護法のもと、「野良犬」は存在してはいけないのですが、「野良猫」はいいのです。
つまり、犬が係留されずに外をうろうろしていたら、捕獲対象となるのに対して、猫はならないのです。
誰でも知っているようなことではありますが、犬に関しては人間の完全な管理下(殺処分、繁殖→途中で死亡、も入れると)にある犬が増えてきた、と言えるのだろうと思います。
それに対し、猫というのは野良ちゃんなのか、飼い猫なのか、わからないからだと思われますが、基本的には捕獲はしないことになっているのですね。
私も勉強不足でここに書くのはちょっと憚られるのですが、猫を大きく分けると最低でも「ヤマネコ」「ノネコ」「ノラネコ」「イエネコ」に分けられるようです。
「ヤマネコ」は言わずと知れた西表ヤマネコや対馬ヤマネコ(対馬♡は月ちゃんの生まれ故郷です♡)など、完全なる野生動物。
つまり、海を泳ぐシロナガスクジラやロシアのアムールトラのように、完全に人の管理からは外れたところで生きる動物です。
そして例えばツシマヤマネコはベンガルヤマネコの亜種と言われている通り、ヤマネコはノネコやイエネコとは生態学的にも違っています。
その「イエネコ」は、言わずと知れた家で飼われる猫。
本来は完全に人間の管理下にある動物。
↑ 1週間くらいは和室が居場所だった三ちゃん(三ちゃんは自由に出入り・月ちゃんは入れないようにしていました)も、徐々に二階のリビングに慣れてきました。
そして、「ノネコ」とは、ややこしい存在で、「ノラネコ」との違いが明確に定義されていないようです。
よくこの論争の時に引き合いに出されているのが、昭和38年の(古い!)農林水産委員会での以下の説明のようです↓
「ノイヌ、ノネコは、元来は家畜でございましたものが野性化いたしまして山野に自生いたしまして、野山におるというのを、のら犬、のらネコ等と区分いたしまして、この場合ノイヌ、ノネコと称しまして狩猟鳥獣に入れておるわけでございますが」(委員会議事録原文はこちら)
「ノネコ」という呼ばれ方をする時は、鳥獣保護法のもと狩猟対象になっているのです。
どうも、この議事録を読んでいると「山野」にいる猫や犬(明らかに飼われていない)は、ノネコ、ノイヌ、と扱われるようです。
しかし昭和38年の説明がまだ生きているのかどうか、そのあたり、もう少しリサーチしないとなんとも言えませんが... どうもそうのようです。
「ノネコとは”人に依存せず山野で自活し野生化したイエネコ”のことですが、少し前まではノラネコやヤマネコと混同する方も少なくありませんでした。しかし最近はそれが何者であるかの認識も非常に高くなっていると感じています。」(南海日日新聞「ネコ問題シンポジウムに寄せて」寄稿文)
この寄稿文は在来生態系に影響を与えるイエネコの影響を考える研究会の方々が書かれたのですが、たしかに猫を巡っては、自然保護の面からは好ましくない影響というのは存在していて、これは日本に限ったことではもちろんありません。
例えばあれだけ動物を愛する国民性を持つイギリスでも、私がいた頃からすでに(10年前)、イエネコは野鳥を捕るから外に出すな!という運動は強くあり、かのデイビッド・アッテンボローさん(野生生物のドキュメンタリーのナレーターなどで有名)も、このことについて発言しています。
ただ、ここではその問題はいったん脇に置きまして。(というのも日本でこれが議論されているのは主に、保護動物がいる離島が多いからです。奄美大島=アマミノクロウサギ=猫に捕食される、西表島・対馬=ヤマネコ=イエネコと交配してしまうなど。)
この、「ノネコ」というのは、もともとはイエネコが野生化し「山野」にいる猫。
そして、「ノラネコ」は、イエネコが野生化し「山野」にはいない、主に都市部にいる猫(都市部の区分けも曖昧です)、という理解になるのかな?と思います。
いずれにしろ、「野良猫」は、人間の管理下にあった猫から発生した、自然界にはもともといなかったはずの動物なのです。
いろいろなパターンがあるようですが、ノネコや野良ネコは、例えば...
〇 もともと飼われていて捨てられた
〇 子猫として生まれたのを捨てられた
〇 去勢・避妊しないまま外に出ている飼い猫と、すでに「野良ネコ」となっていた猫が交配し生まれた猫が野生化した
とか、大元を辿っていくと、人間が管理していたはずの猫たちから派生。
ここのところが、よく知られていないと、「猫は迷惑」的な短絡思考になるのかな?と思ったのですが、どうでしょうね。
TNRという活動をしている人達がいます。
主に、上記のうち、野良ネコを対象にした活動です。
ご存知でない方のために説明しますと、T (Trap=捕獲する)、N(Neuter = 去勢・避妊手術をする)、R (Return = 元の場所に戻す)、という活動です。
ただ、それだけではなく、決められた場所での餌やり、その後片付け、排泄をするための場所とプランターなどの設置とメンテナンス、というところまで含んでいるのが日本におけるTNR の一般的な内容のようです(そうでない場合もあるとは思いますが)。
そして、TNRの対象となりきちんと去勢・避妊をしている猫は、「地域猫」と呼ばれています。
そうでない猫と区別するために、耳をさくらの花の先っぽのようにカットしているため、「さくら猫」などとも呼ばれています。
これは、新たなネコのカテゴリーであると、私は考えています。
先月のハワイで週末ミニマムキャンプをした時も、この「地域猫」がいました。受付のところに避妊・去勢のための募金箱が置いてありました。向かって左の耳がカットされています。ものすごい人懐こいコで、私は Sweet Heart と呼んで膝まくらしたりしてましたw
TNRをしているボランティアさんのお話を聞くと、もちろん猫が”好き”で”かわいそう”ということの他、「人間の責任で野良ネコになった」というところに、同じ人間として責任を感じ、なんとかしようと動いている、という印象を受けます。
これ、前回書いた、倫理感に根差した行動です。
それなのに、この人達が行政から怒られたりするなんて、本当に筋違いな話なのです。
↑ ある高齢のおばあさんが劣悪な状態の野良ネコたちの世話をしたところ、行政から延々とお説教され具合が悪くなった、という話です。
ただ実際、そうとはわかってもやはり前回も書いた庭にフンをするなど、「メイワク」と感じられる場合もあるそうで、TNR活動は大変苦労されているようですね。
そして行政のあの「近隣の迷惑になりますので猫に餌を与えないでください」というメッセージは、短絡的すぎて危険です。
なぜなら、百歩譲ってメイワクという言葉を使うとしたら、その対象にははっきりとした区分があるべきだからです。
去勢や避妊をした猫は、戸外にいるとしても1代限り。増えることはありません。
そのうえで、そういう猫であっても、近隣の庭に入ってフンをして迷惑だから、餌をあげるな(→ 餓死・ゴミあさり)、というのかどうか。
TNRは環境省のガイドラインを読むときちんと認められた活動です(「住 宅 密 集 地 に お け る 犬 猫 の 適 正 飼 養 ガ イ ド ラ イ ン」)。
それが、自治体によっては短絡的なメッセージを発信したまま、というだけのことなのか。
私も勉強不足でまだよくわかりません。でもこのメッセージはどうしても変える必要はあると強く感じています。
仕事柄(サステナビリティを推進する)よく、人から「それはきれいごと」と言われます。
でもそれはいけないことなのかなあ~と、最近そのことをよく考えます。
現実はいろいろあっても、常に未来の「きれいごと」を目指すことで、人のモラルは進化してきたのではないのかなあと。
理論的には、すべての猫を捕獲し去勢・避妊をし、耳をカットしその猫たちについては温かく見守る、ということを目指すことが人道的・倫理的・道徳的、なのではないでしょうか。
しかも、もともとは人間が飼っていた猫たちから派生している彼らは、人間の産物であります。
倫理や道徳より自分の快適さや便利さだ、という主張、そんな主張を、子どもがしたら私たちはきっと心配するでしょう。
「将来どんな大人になるのか」。
なのにどうして、子どもに言うことと、大人のすることで、ダブルスタンダードを持ち込んでいるのでしょう?
子どもたちには命を大切に、他人を(他の生き物を)大切に、と教えるのが基本だと私は理解していますが、違ったのでしょうか。
「そんなこと言っても現実問題は」とは、「メイワク」と並んでよく使われる言葉ですが、それを押し通してきたから今私たちは自分の住んでいる場所である地球を滅ぼすようなことをしているのだと、そろそろ気づいてもよいころではないかな...
ネコの問題、イヌの問題、生きものの絶滅、大量消費に大量廃棄、etc. etc.
人間以外の生きものに対する姿勢そのものを、もう一度考え直す機会を、このネコ問題とTNRは考えさせてくれるなあ~と思いました。
猫は特に、「普通に道にいる」(学生さんのコメントw)ため、みんなに関係あるということが分かりやすいですから、動物問題を考えるのにとっかかりやすいかも。
So-net マリエさんが代表をされているこちら肉球クラブさんの譲渡会が27日の今日行われました。
もう何年も譲渡会でサプリメントを販売して活動費に充てていただくようにしていますが、ボランティアさんたちが猫ちゃんたちに食べさせるのに苦労していると聞いていました。
みなさん粉状にしたりと工夫されていると聞いたので...
同じく So-net ぼっこさんがご自宅でしてくださっているというアイデアをそのままいただいて、バウンシー(猫用オーガニックサプリメント)を粉状にし、1回分ずつを袋に入れてお送りしました。
三ちゃんもうちに来た当初、猫風邪ウイルスのためもあり涙・鼻水ともにすごかったんですが、バウンシーでとてもきれいになったので、ぜひ、譲渡率アップのためにもなんとか猫ちゃんたちに食べてもらいたい!
お忙しいボランティアさんにあまりお手をわずらわせたくない!
そんな気持ちをスタッフに話したところ、「やってみます!」と実現してくれたのです。
マリエさん、ボランティアのみなさん、ぼっこさん、そしてパフィーズKさん、ありがとうございます。
三ちゃんと同じ運命の猫ちゃんたちに、よいお家が見つかっていますように。
しかし月ちゃんも三ちゃんも、もともとは「野良」で暮らしていたことを思うと、動物の人間に合わせる能力はすごいなあ~と思います。
これだけの知能や感情を持っている動物を、「メイワク」で片付けることは、やはり知能が高く理性と判断力に優れていると自負する「人間」であればこそ、倫理に反することではないでしょうか。
二頭とも、合わせてくれているのだな、と、日々感謝♡
動物とこんな近くで暮らせるって、実はすごいことなんですね。
私の instagram ↓
パフィーズの instagram ↓
ペットのオーガニックサプリ ↓
~お知らせ~
9/16 パフィーズ 福岡市イムズデパートにてセミナー(こちら)
10/3 代表Mari 朝日新聞地球会議2017パネリスト登壇(こちら)@帝国ホテル in 東京 (フェアトレードのセッション、お申し込みは朝日新聞社まで)
2017-08-27 17:16
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コメント(18)
サンプルを送って下さった事ありがとうございました。
今回は来場者が少なくて全部は配布できませんでしたが、説明した方が何人かいましたので、購入につながると良いと思います。
またメンバーの知り合いの猫ちゃんが免疫力を高めたくて試してもらったのですが、だいぶ元気になったという報告を聞きました。
バウンシーの力かな?という事でした。他の子たちにも(メンバー内でも)少しずつ浸透してきています。バウンシーのおかげかなと見な感じ始めています。猫たちの元気は飼い主の幸せでも有ります。一本使い切ってどうなったかまた聞いてみたいと思います。
by マリエ (2017-08-27 19:28)
必要なのはお互いを思う気持ちとか、歩み寄りなんだと思うのです。簡単だけど、難しいけど。
ただ、猫が好きな人はこういうノネコ問題とはへの関心も高い人が多いし、多くの人の気持ちが同じ方向を向いているような気がします。(個人的な感想ですが、わんこ好きな人たちはこの辺の感覚は大きくばらつきがありそうな…)
なので、個人の小さな活動からの未来は希望があるような気がします。
私もできること、頑張ります。
by ヨンタロー♀ (2017-08-29 19:55)
私もとうとう2匹目を保健所から
引き取ってきましたが、
まだ先住猫のテオに回虫がうつるので
遊ばせる時はお尻をなめないように・・・
目が離せません^^;
宝くじが当たったら
大きなタワーを建てて
世の中の捨てられたワンちゃんニャンちゃんを
ぜ~んぶ拾って大切に育てたいです。
by イヴママ (2017-09-01 10:04)
日本にヤマネコっていませんよね?
山野で獲物を取って暮らしている猫はいるんでしょうが‥
うちのあたりは、何十年か前に山を切り開いて住宅地に開発したところ。
空き地は多く残っていたので、猫達はかなり自由に暮らしていました。
今はびっしり家が立ち並んでいて、皆さん室内飼いにしています。
猫が外を歩けない町なんて、人間が暮らしやすいのか、と父が言ったことがあります。とくに大の猫好きというわけではなかったんですが。
迷惑という言葉は気になりますね。
苦情があった、というような背景があるのか、個人的な経験による判断なのか。
具合が悪くなるほど長々と説教をするようなことって、モラハラじゃないのかな‥
外にいる猫も、元は飼われていた猫が捨てられたり迷子になったり、そういう猫の子供が多いのでは。
人間ができるだけ見守っていくのが社会なんじゃないでしょうか。
動物愛護の精神も、大事なことだと思いますね^^
by sana (2017-09-04 21:53)
三ちゃんはMariさんに見初められて幸せですね。
引き取りや処分の数はまだまだ多いですが減少してるのは良いことですね。
by 旅爺さん (2017-09-05 09:30)
動物と暮らせる幸せ・・・・
よく分ります。^^
by hatumi30331 (2017-09-05 09:34)
Mariさん
こんにちは!
「ノネコ」そう言う意味だったんですね^^
分かりました、ありがとうございます!^^
by kiyokiyo (2017-09-05 15:34)
こねこの三ちゃん!
ほんとだ、怯えた表情が今の三ちゃんと同一人(?)物とは思えないですね。
Mikeさん優しいですね…
そしてMariさんを信頼してるからもう連れてきちゃってるのに電話かけた。^^
人間は、もういい加減この地球は自分たちだけのものじゃないって気付かないのかな?
某国然りだけど、自分さえよければ…っていう考えが、なんだかすごく多いように感じます。
野良ちゃんについて真剣に考えて行かなければならない…
そのために自分にできることって何だろう、って考えさせられました。
by ミケシマ (2017-09-05 21:09)
ヤマネコ、ノネコ、ノラネコ、イエネコの定義のお話、大変興味深かかったです。
ノラ犬は捕獲の対象だけれど、ノラ猫は対象外というお話も。
知らなかった~(@_@)
Mariさんの今回の記事もまたいろいろ考えさせられました。
(Brexitについてはもちろんドイツでも大きな問題として関心がとても高いです。 中にはドイツも離脱してしまおうという意見もあるようです。 難民受け入れ問題が深刻になっている影響もあるのでしょう。 ドイツあってのユーロとも言えるだろうに、それでは元も子もないと思うのですが・・・)
by saia (2017-09-07 22:45)
☆ マリエさん
いつもありがとうございます。自然のものなので、時間はかかりますが、三ちゃんを見る限り猫風邪(涙・鼻水)や毛づや、全体の健康はすごく改善されましたので、猫ちゃんたちになにかいいことがあるといいなと思っています。
譲渡会も毎回大変ですよね。次回はたくさん来られますように。パフィーズでも宣伝協力いたしますので、情報をお送りください。
by Mari (2017-09-11 16:48)
☆ ヨンタローさん
猫が好きな人はわりと同じ方向を向いている、犬の場合はばらつきが... という点、私も感覚的にそう思います。
犬はブリーディングが激しく車を持つような感覚の人がいることも、関係あるのかな、とずっと思っています(例えば〇〇色の△△という犬種、とか、車を選ぶように犬を選ぶことってありますよね)。
今後、残念ながらますます動物にとっては厳しい世界となりそうです。
私たちの方も、パワーアップして身を切っていかなくては、ですね。
by Mari (2017-09-11 18:53)
☆ イヴママさん
壮大な夢w すごいですね~。
もう一頭ちゃんの、お世話が大変ですね!
でも、手がかかるからかわゆい、というのもまた本当のところでしょうか。
やっぱりドッグカフェじゃなくて猫カフェ?かな?
またその後を楽しみにしていまーす。
by Mari (2017-09-11 18:54)
☆ sana さん
ヤマネコは、イリオモテヤマネコ、ツシマヤマネコがいます。
どちらもいわゆる「イエネコ」とは生態的に異なっている、完全なる野生動物です。
お父様の言われた「猫が外を歩けない町なんて、人間が暮らしやすいのか」というの、ほんとに共感です。
好きではなかったけれど、というところが、すてきです!
何かが気になったり気に障ったりして排除する → それに関しては問題解決 → 次の対象物が気になる、というパターンをよく見ます。
排除でなく、違うもの(好きなもの)で生活を埋めていく、という方向でないと、そういう人というのはずっと何かを探していくと最近すごく思います。
また、猫の問題に関しては、そういう向きと、単に事情を知らない人が多すぎるような気がします。
by Mari (2017-09-11 19:06)
☆ 旅爺さんさん
三ちゃんが来てくれて、私たちの方がラッキーでしたw
こんなフレンドリーなネコはお金を出しても買えないね、といつも言っています。
殺処分の数が減っているのにはいろいろと背景もあり、手放しで喜べない部分もありますが、それでも増えるよりはいいですね。
by Mari (2017-09-11 19:08)
☆ hatumi30331 さん
ほんとですね。
毎日を大切にしようと思わせてくれます。
by Mari (2017-09-13 11:29)
☆ kiyokiyo さん
うーん、「ほんとにそうだった」かどうかは自信ないですw
専門家のサイトを見る限りは、そうみたいです、というのが正解かな。
by Mari (2017-09-13 11:30)
☆ ミケシマ さん
ほんとに、今ののほほ~んとしていたずらっ子な顔を見ると、同じ猫とは思えません。
あの頃は鳴き声も「アン」と小さくかわいらしい声でした(今もこの子は「ニャン」とかわいい鳴き声ではあるんですがw
先日、FBである人が難民の子どもたちへの寄付を募るサイトをシェアしていたら、そこに、結構な数で「それは他国の問題、日本にだって問題はあるんだからそんな余裕はない」的なことが書かれていてとてもショックを受けました。
明らかにこの場合、正しい行為はそういう人達のことを(気持ちの上で)切り捨てないことだとわかっているのに、あえてそれをわざわざ公の場に書くという気持ちが、どうしてもわからないのは私だけではないと思います。
どうなっているんでしょうね、ほんとに?!
となると、そういう流れを薄めるだけのパワーを、こちら側も発揮していかないといけないのかなと思います。
がそれが、対立という形でなく実現されるためには、コミュニケーションの仕方に今以上に気を配っていく必要があると思いました。
長くなりましたが、故に「メイワクです」をやめ、もっと別のメッセージを求めたいです。
by Mari (2017-09-13 11:36)
☆ saia さん
いえいえ、本当の本当にそのカテゴリー分けでよいのかは、専門的には自信がありません。
インターネットで見られる専門的な情報を斜め読みしたところでは、そうみたい、です。
Brexit、イギリスでもものすごーく揺れ動いてますが、EU自体の危機感はやっぱり世界的にありますね。
グローバル化に嫌気がさしたというか、そういう向きが強くなってきていて、それがポジティブな方向に向いているならまだしも、「こらえ性がない」的な動きに見えます。
頼りのドイツもそんな感じですか、やっぱり... どうなっちゃうのか、心配ですね。
by Mari (2017-09-15 18:33)